近隣は、古くは奥州街道の宿場街として栄えたが、近年、商業施設やマンションの建設が活発に行われ、昨今の新しい街並みと昔ながらの雰囲気が共存している。計画地は、その一角に立つ旧地方銀行の建物。空間はスケルトンにしながらも、かつて地域住民に親しまれた建物の記憶として、外観や金庫室などは残している。
「ほんとの未来」をテーマとした本施設では、「オフライン」で体験する本と、ウェブ配信など「オンライン」で体験する動画という、二つのメディアを空間に共存させることで、新たな体験や出会いを生み出すことを目指した。

ずらりと並ぶ本は、一般的な図書施設のように小説や実用書といったジャンル分けはせず、「“こうなりたい”という憧れ」「本物に“触れる”ことの大切さ」「新しい見方に“気づく”ことの楽しさ」「何かを“表現する”ことの美しさ」「誰かとの“つながり”」「一緒に“参加する”ことの心地良さ」「親から子へと“続く”ことの尊さ」、そして「“仙台の未来”を想い描くことの素晴らしさ」という八つのコンセプトに沿って選書。普段手に取ることのない本との偶然の出会いを生み出そうと考えた。